ザンビア、コスタリカ、スペインと同居したグループCを3戦全勝且つ無失点で首位通過したなでしこ。オランダ女子代表に敗れ、ベスト16敗退となった前回大会からの巻き返しを図るチームは、グループAをスイス女子代表に次ぐ2位通過したノルウェーと対戦。
4-0で快勝したスペイン女子代表戦を戦ったウェリントン・リージョナル・スタジアムでの中4日での一戦に向け、池田監督は先発3人を変更。林穂之香、猶本光、植木理子に代えて長谷川唯、藤野あおば、田中美南を起用。現状のベストメンバーを揃えてきた。
対するノルウェーは6-0で圧勝したフィリピン女子代表戦から先発1人を変更。マーナムに代えてエンゲンを起用。[4-3-3]の3トップには前節ハットトリックのロマン・ハウグ、グラハム・ハンセン、ハーヴィという強力なメンバーが並んだ。
守備時に[5-4-1]に変化するなど、後ろ重心のノルウェーに対して、ボールを握って攻め手を窺うなでしこ。立ち上がりはサイドを起点に崩しを狙いつつ、今大会得点ランキングトップの4ゴールを挙げる宮澤ひなたがミドルシュートで相手守備を牽制する。
最高の時間帯に先制したなでしこは前がかる相手に対して、スペイン戦のような鋭いカウンターで追加点を目指す。だが、一瞬の隙を突かれて相手のファーストシュートをゴールに繋げられる。
20分、GKからのロングボールを前線で収められて右に流れたボー・リサに正確なクロスを入れられると、ゴール前でフリーにしたレイテンに巧みなヘディングシュートをゴール左隅に流し込まれ、今大会4試合目にして初失点を喫した。
早い時間帯の同点ゴールで勢いづくノルウェーの圧力を受けながらも、徐々に試合を落ち着かせるなでしこ。以降は相手のロングボールやカウンターを警戒しつつも、左サイドを起点に攻勢を続ける。その中で長谷川唯がボックス付近でのプレーを増やし、ゴール前に潜っていく場面を作り出す。これでサイドに加えて、中央での崩しのアイデアも見え始めたが、決定機まであと一歩という状況が続いた。
迎えた後半も同じメンバーで臨んだ日本だが、守備を中心に微調整を施した結果、早い時間帯に勝ち越しゴールを奪う。
50分、ボックス付近の中央での崩しから宮澤のパスをボックス内でゴールを背にした長谷川がマイナスに落とす。これはDFのカットに遭ったが、カウンタープレスの形でバックパスを強いると、虎視眈々と狙っていた清水梨紗がボックス右でカット。そのまま右足を振り抜くと、相手DFのつま先を掠めたシュートがゴールネットに突き刺さった。
再び相手のミスを突く形でリードを手にしたなでしこは、追いつかれた前半の反省を生かしてこのままギアを緩めず。反撃に出たい相手を強度の高い守備で自陣から出させず、うまく自分たちのゴールから遠ざける。
以降は3点目が遠いものの、冷静に時計を進めるなでしこは72分、田中に代えて植木を最初の交代カードとして切る。すると、植木は投入直後にカウンターの局面で鮮やかな突破からのクロスでいきなり決定機を創出する。
一方、じり貧のノルウェーはコンディションに問題を抱える主砲ヘーゲルベルグを投入し、前線のターゲットを増やしたパワープレー気味の戦い方にシフト。すると、この交代策がなでしこを苦しめることになるが、ボックス右で放ったセーヴィクのシュートは枠の左、マーナムのボックス中央でのシュートはGK山下杏也加が冷静にセーブする。
押し込まれながらもチーム一丸となった守備でノルウェーの攻撃を撥ね返す展開が続く中、絶好調のアタッカーがチームを救う決定的な仕事を果たした。81分、ハーフウェイライン付近の右サイドでボールを受けた藤野が得意のドリブルで内側へ運びながら背後を狙う宮澤へ完璧なスルーパスを供給。DFの前に身体を入れてボックス内に持ち込んだ宮澤は冷静に左足のシュートを流し込み、得点ランキングトップを走る5点目とした。
この貴重な2点目で勝利に大きく近づいたなでしこは逃げ切り態勢に入る。最終盤は相手の決死の猛攻に晒されたが、91分にはゴール前のセーヴィクの決定的なヘディングシュートを守護神・山下が圧巻のワンハンドセーブではじき出す。そして、最後まで集中を切らさずに試合をクローズしたなでしこが、難敵ノルウェーを3-1で破り2大会ぶりのベスト8進出を決めた。
なお、なでしこは11日にオークランドで行われる準々決勝でスウェーデン女子代表vsアメリカ女子代表の勝者と対戦する。
なでしこジャパン 3-1 ノルウェー女子代表
【日本】
オウンゴール(前15)
清水梨紗(後5)
宮澤ひなた(後36)
【ノルウェー】
レイテン(前20)