9位・鳥栖は前節のヴィッセル神戸戦から約3週間ぶりの公式戦という状況の中で九州ダービーを迎えた。2試合ぶりの勝利を目指す今回の一戦では、神戸戦で出場停止だった堀米がスタメンに復帰している。
対する10位・福岡は、2日に天皇杯ラウンド16の栃木SC戦に臨み、延長戦の末2-4で勝利。リーグ戦中断前から続いていた公式戦連勝記録を「5」に伸ばした。今夏に鳥栖から福岡へと移籍した注目の田代は古巣戦でベンチ入り。前節出場停止だったルキアンと奈良が復帰した一方、前嶋が今節は出場停止でメンバーから外れた。
序盤は鳥栖ペースで時間が進む。6分には右サイドの河原のクロスに原田が頭で合わせたが、これは枠を外れた。
その後も押し込んで何度もCKを獲得する鳥栖だが、ファイナルサードでの精度を欠き、決定機は作れない。26分には、右サイドでボールを持った堀米のインスイングのクロスに岩崎が頭で合わせたが、これはGK村上の正面だった。
主導権を握れない福岡もサイドから攻撃の糸口を探すが、鳥栖以上にゴールが遠い。しかし、前半終了間際の45分に先制に成功。鳥栖のカウンターをGK村上のセーブにより防ぐと、今度は福岡が左サイドからカウンター。ルキアンが前線左サイドに抜け出すと、ドリブルで中をうかがいながらグラウンダーのクロスを送る。ゴール前で山岸がキープすると、山岸の落としに反応した金森が左足を振り抜き、ゴール右隅にシュートが決まった。
ところが、リードを奪われた鳥栖にすぐに同点のチャンスが訪れる。前半アディショナルタイム、長沼がシュートを放つと、これを防ごうとした小田のハンドが取られ、鳥栖にPKが与えられる。しかし、VARによるチェックとオンフィールド・レビューの結果、ノーハンドに判定が覆り、福岡が1点をリードしたまま前半を終えた。
両チームともに交代無しで迎えた後半。いきなり福岡が右サイドから攻撃。湯澤のクロスにニアで反応した山岸がヘディングシュートを打ったが、枠の右へと外れた。
早めに追いつきたい鳥栖。54分には、右サイドでボールを持った長沼が左足でクロスを入れると、ドウグラス・グローリにディフレクトして右ポストに直撃。59分、今度は長沼が堀米の左からのクロスにヘディングで合わせたが、枠内には飛ばせなかった。
一方の福岡も追加点を狙って前に出る。60分、FKの流れから井手口が右サイドのゴールライン上ギリギリでクロスを上げると、中央のルキアンまで届く。しかし、ヘディングシュートはゴール左に外れた。
63分にも福岡が波状攻撃。井手口と金森の連携で左ポケットに侵入すると、最後はルキアンが頭で押し込もうとしたがシュートはクロスバーの上部に当たり、そのままゴールラインを割った。
少し嫌な流れの鳥栖は、67分に富樫と横山を投入。すると77分、左サイドでボールを持った横山が積極的に仕掛けて左ポケットからクロスを送り、ゴールの匂いを感じさせる。
オープンな展開となって目まぐるしく攻守が入れ変わる中、81分に福岡の長谷部監督は鳥栖から獲得した田代と田中を投入。5バック気味の布陣に変えて逃げ切りを図る。
その直後の83分、鳥栖の長沼がボックス手前でボールを受け、内へ巻くようなシュートをゴール右に狙ったが、これは惜しくも右に外れた。
続く86分、今度は右ハーフスペースでボールを持った堀米から左ポケットの横山へロングボールが通り、横山がダイレクトでゴール前に折り返したが、押し込むことはできなかった。
流れに乗る鳥栖。87分には右サイドからボックス内の堀米、左ポケットの横山へとテンポよく繋がり、横山が右足ダイレクトのシュートで右サイドネットを揺らす。横山のJ1初ゴールかと思われたが、これはオフサイドの判定により惜しくもノーゴールに覆った。
結局、鳥栖は最後まで同点ゴールを奪えず。金森の先制点を守りきった福岡が九州ダービーを制し、公式戦連勝記録を「6」、リーグ戦連勝記録を「4」に伸ばした。
サガン鳥栖 0-1 アビスパ福岡
【福岡】
金森健志(前45)