大会初優勝を目指すヨーロッパ女王のイングランドは、グループD全勝で決勝トーナメントに進出。6ゴールを奪ったグループステージ最終節・中国女子代表戦の勢いを維持できるかが注目となった。今回のナイジェリア戦では第2節デンマーク女子代表戦でヒザを負傷した中心選手のMFキーラ・ウォルシュが先発復帰。また、中国戦と同様に3バックの布陣を敷いてきた。
対するナイジェリアは開催国のオーストラリア女子代表から勝利をあげるなど1勝2分けの成績を残し、グループBを2位で突破。グループステージ最終節はすでに敗退が決定していたアイルランド女子代表と対戦し、ゴールレスドローで終えていた。アイルランド戦で先発したエースFWアシサト・オショアラはベンチスタートとなり、代わってFWイフェオマ・オヌモヌが最前線で起用された。
序盤はナイジェリアがイングランドゴールを脅かす展開となった。10分には、左サイドでボールを持ったFWラシーダット・アジバデのクロスがそのままゴールへ向かっていったが、イングランド守護神メアリー・アープスが冷静にパンチングで弾き出した。
13分にも右CKからシュートまで持ち込んだナイジェリアは、16分に波状攻撃を披露。左ハーフスペースを上がってきたDFアシュリー・プランプトルの左足シュートがクロスバーに跳ね返されると、その流れでボックス内に残っていたプロンプトレがもう一度シュート。今度はGKアープスがセーブした。
前半の終盤に差し掛かると一進一退の攻防が続いたが、両チームともに決定機は迎えず。0-0のスコアで試合を折り返した。
交代なしで迎えた後半、ナイジェリアが良い入りを見せる。47分、左からのクロスに大外で待っていたFWウチェナ・カヌが高いジャンプからヘディングシュート放つも、これはクロスバーの上部を叩いた。攻め立てるナイジェリアは58分、オヌモヌに代えてオショアラを投入。先制点を獲りに行く。しかし、この辺りから試合は再びイングランドペースへと傾いていく。
それでも決定機を作らせなかったナイジェリアは、オショアラをターゲットに前に出ていく。守勢に回ったイングランドは73分にアクシデントが発生。GKアープスがピッチに倒れ込み、メディカルスタッフが状態を確認する事態となったが、大きな問題はなかったようでそのままプレーを続行した。
この小休止で落ち着いたイングランドはセットプレーからチャンスを作る。76分、右CKにデイリーが頭で合わせると枠内にシュートが飛んだが、ここもGKナドジエに阻まれた。
延長戦も視野に入り始めた85分、イングランドが自ら状況を悪くしてしまう。FWローレン・ジェームズがナイジェリアのDFミシェル・アロジーと交錯して倒れた後、立ち上がる際にアロジーの背中をスパイクで踏んでしまった。1度はイエローカードで済んだものの、オンフィールド・レビューの結果レッドカードに判定が覆り、ジェームズは一発退場。イングランドは残りの時間を10人で戦うことになってしまった。
その後は数的不利となったイングランドが攻め込んだものの、結局ノーゴールのまま90分が経過。勝負は延長戦にもつれ込んだ。
延長前半の頭から交代カードも使い、3バック気味の布陣へと変えてきたナイジェリア。一方のイングランドはここまで1人しか選手を代えていないものの、依然として動く気配がない。
ナイジェリアはアロジーのシュートなどで何度かゴールに迫ったものの、スコアは動くことなく延長前半の15分が終了。イングランドは延長後半に入り、ようやく2人目の選手交代を行った。
苦しいイングランド、押し込むナイジェリアという構図は変わらなかったものの、ナイジェリアは最後まで決定打を欠くことに。117分にはようやくオショアラが惜しいシュートを放ったが、GKアープスがセーブ。120分までに決着をつけたいナイジェリアだったが、10人のイングランドが凌ぎきり、勝ち上がりの行方はPK戦に委ねられた。
先行のイングランドは1人目のキッカーをMFジョージア・スタンウェイが務めたが、シュートを左へと外し失敗。しかし、後攻ナイジェリアの1人目を務めたFWディザイア・オパラノジもリプレイを見るかのようにゴール左へと外してしまい、イーブンのまま2人目に突入した。
イングランドは2人目のFWベサニー・イングランドが落ち着いて決めたものの、ナイジェリアは2人目のアロジーもシュートを外してしまい連続で失敗。両チームともに3人目、4人目が成功させた後、イングランド5人目のFWクロエ・ケリーが決め、勝利を収めた。
PK戦まで持ち堪えて勝ち上がったイングランドは、8日に行われるコロンビア女子代表vsジャマイカ女子代表の勝者と12日に対戦する。
イングランド女子代表 0-0(PK4-2) ナイジェリア女子代表