目下リーグ6連勝中と、今季もシーズン終盤戦に無類の強さを見せる2位のシティ(勝ち点70)。また、先週末に行われたFAカップ準決勝ではマフレズのハットトリックの活躍でシェフィールド・ユナイテッドに3-0の完勝。一部主力に完全休養を与えた上、その他の主力も早めにベンチへ下げる余裕の戦いぶりで、ホームでの頂上決戦へ弾みを付けた。グアルディオラ監督はそのFAカップから先発5人を変更。守護神エデルソンとルベン・ディアス、ストーンズ、デ・ブライネ、ロドリの主力が復帰。アケ不在のバックラインはウォーカー、ストーンズ、ルベン・ディアス、アカンジとなり、この試合ではデ・ブライネをトップ下気味に配置した[4-2-3-1]で臨んだ。
一方、19シーズンぶりのリーグ制覇へここに来て重圧を感じる首位のアーセナル(勝ち点75)。前節のホームゲームでは最下位サウサンプトン相手に3試合ぶりの勝利を目指したが、まずい試合の入りが最後まで響き、後半終盤の猛攻で2点差を追いつくのが精一杯。頂上決戦を前に痛恨の3試合連続ドローとなった。現時点で5ポイント差で首位も、2試合未消化に加えて得失点差で大きなアドバンテージを持つ2位チームに優位に立たれており、6連敗中のエティハドでは勝ち点3奪取が必須の状況に。その鬼門攻略に向けてアルテタ監督は前節から先発1人を変更。コンディション不良で欠場したジャカがファビオ・ヴィエイラに代わって復帰した。
今季のプレミアリーグの覇権争いを決定づけるミッドウィーク開催の頂上決戦は、互いに前から圧力をかけ合うアグレッシブな入りとなった。互いに早々に相手のボックス内に侵入する場面を作り出すと、早い時間帯にスコアが動いた。
7分、自陣ボックス内でストーンズが大きく蹴り出したクリアボールをハーフウェイライン付近でDFホールディングを背負ったハーランドが懐深いボールキープから完璧な落としをデ・ブライネに繋ぐ。左のオープンスペースではなく、あえてDFがいる右サイドへドリブルを仕掛けたベルギー代表MFはGKラムズデールのポジションを見極めてボックス手前で右足を振ると、枠の外側から巻く形となったグラウンダーシュートがニア下隅を射抜いた。
前回対戦同様にデ・ブライネのゴールで幕を開けたビッグマッチは、以降しばらくは先制したシティがうまくアーセナルにボールを持たせながらゲームを落ち着かせていく。また、ボールを持った際には相手のプレスを要所でいなしながら巧みに前進。22分にはベルナルド・シウバの個人技でボックス内に侵入してフィニッシュまで持ち込むが、パワー不足のシュートはGKラムズデールに難なくキャッチされる。
相手の予想外の出方も影響したか、前からの守備が嵌らず、後方からのビルドアップも機能しない苦境が続くアーセナル。20分過ぎにはセットプレーからガブリエウのヘディングシュートでようやくファーストシュートを放ったが、後が続かない。
一方、立ち上がりからリズム良く試合を進めるホームチームは、躍動するデ・ブライネとハーランドのゴールデンコンビが続けて見せ場を作る。まずは26分、ハーランドのスピードとリーチの長さを生かしたワンタッチパスに反応したデ・ブライネが背後へ飛び出し、DF2枚を相手に揺さぶって左足を振るが、これはDFホワイトのブロックに遭う。続く28分にはデ・ブライネのスルーパスに抜け出したハーランドがボックス内での見事なダブルタッチでシュートに持ち込むが、GKラムズデールの好守に遭う。
前半終盤にかけても攻守にアウェイチームを圧倒し続けるペップのチームだが、ハーランドが再三の決定機を相手守護神のビッグセーブに止められて2点目を奪い切れない。それでも、前半終了間際のアディショナルタイム1分に決定的なゴールが決まった。
相手陣内中央右で得たFKの場面でキッカーのデ・ブライネがタイミングを外して絶妙なクロスを供給すると、ボックス左で完全にフリーとなったストーンズがゴール右隅へ丁寧なヘディングシュートを流し込んだ。当初オフサイド判定となったが、VARが介入した結果、かなり微妙ながらもオンサイドでのゴールが支持された。
2-0というスコアを含めあらゆる局面でホームチームが圧倒した頂上決戦は後半に突入。ハーフタイムのアルテタの修正に注目が集まった中、多くの変化が求められたアウェイチームはマイボール時の立ち位置や守備のやり方に微調整を施したものの、同じ11人でスタートした。
2点リードに加えて相手の後半の出方を窺う様子見の入りを見せたシティだったが、後半もゴールデンコンビが圧倒的な個の力で攻撃を牽引。53分、ルベン・ディアスのロングフィードに反応したハーランドがディフェンスラインと完璧に入れ替わってGKと一対一のビッグチャンスを迎えるが、ここは圧巻のGKラムズデールの好守に阻まれる。
しかし、直後の54分には中盤でのウーデゴールのマイナスの落としをカットしたデ・ブライネがハーランドとのパス交換でボックス左に抜け出すと、最後はDFホールディングの股間を抜く技ありのシュートを流し込み、トドメの3点目を奪い切った。
2連覇中の王者相手に為すすべがない首位チームは60分、ジャカとマルティネッリを諦めてトロサールとジョルジーニョを同時投入。ここから勝ち点を持ち帰るのは厳しいものの、今後の戦いに繋がる何かを持ち帰ろうと腐心していく。
その後、大量得点差ということもあり、試合は初めて完全な膠着状態に陥る。シティは殊勲のデ・ブライネを下げてアルバレスを投入。一方、アーセナルは古巣対戦で見せ場がなかったジェズスとサカを諦めてエンケティア、ネルソンとフレッシュな若手をピッチに送り出す。
何とか一矢報いたいアーセナルは86分、セットプレーの二次攻撃からボックス内で果敢に仕掛けたトロサールのお膳立てから伏兵ホールディングの正確な右足のシュートでようやくゴールを挙げた。
クリーンシートは逃したものの、気を引き締め直して試合をクローズにかかったシティは、試合終了間際に途中出場フォーデンのお膳立てからゴール前に抜け出したハーランドがこの試合6本目のシュートをようやくゴールネットに流し込む。そして、サラーと並んでいた38試合制でのプレミアリーグシーズン最多ゴール記録を33ゴールに更新し、頂上決戦の快勝に花を添えた。
そして、注目の頂上決戦に圧勝したシティは2試合未消化の状態で勝ち点差を「2」に縮めて逆転での3連覇へ大きな勝ち点3を積んだ。一方、敵地で完敗のアーセナルは2月半ばに敗れたシティに再び屈し、11戦ぶりの黒星を喫することになった。