前節リーグ戦で6試合ぶりの白星を手にし、ミッドウイークのコッパ・イタリア準決勝でもユベントスを下した7位インテル(勝ち点54)。チャンピオンズリーグ(CL)出場権を争う4位ミランと5位ローマが前日に引き分けて勝ち点57にとどまったため、是が非でも3ポイントを欲する一戦となった。
対する2位ラツィオ(勝ち点61)も敗れればナポリに今節での優勝の可能性が生じるため、負けられない戦いに。混沌のCL出場権争いから抜け出すためにも、敗れた前節トリノ戦では自動車事故の影響でベンチスタートだったインモービレをスタメンに復帰させた。
序盤はラツィオが最終ラインでじっくりボールを回して機を伺うが、ファーストシュートは5分のインテル。ブロゾビッチの左足ミドルがGKにセーブを強いる。
徐々にポゼッションの位置が上がり始めたラツィオは8分、フェリペ・アンデルソンの横パスから右ポケットに入ったインモービレが角度のない位置から強烈な右足のフィニッシュ。だが、パス受けのタイミングがオフサイドと判定された。
互いに様子を伺う中で次第にインテルがサイドを効果的に使いだし、ムリタリアンやルカクがフィニッシュを迎える。26分にはダンブロージオが中盤でL・アルベルトへのクサビをカットしてショートカウンターを仕掛けると、引き取ったブロゾビッチが右ポケットを突くスルーパスを送り、ホアキン・コレアの折り返しをムヒタリアンが蹴り込んだ。
だが、VARチェックの結果、ホアキン・コレアのパス受け位置がオフサイドとの判定に。肝を冷やしたラツィオだったが、ピンチの後にはチャンスあり。インテルのビルドアップに制限を掛け、フェリペ・アンデルソンがアチェルビを突ついて高い位置で奪い切ると、インモービレ、L・アルベルトと2つのワンツーを経てバイタル中央から右足での鋭い一撃を突き刺した。
追い掛ける展開となったインテルは37分、左での組み立てから逆サイドまで展開し、ムヒタリアンがシュート。3分後にはルカクのポストプレーからバレッラが抑えの効いた右足ボレーを放つも、わずかにポストの左へ外れた。
アタッキングサードへの進入回数こそ多くはないラツィオだが、強力3トップが要所で脅威を見せる。追加タイム1分にはボックス左からインモービレがダンブロージオをかわし切らずに対角を狙い、セカンドボールをフェリペ・アンデルソンがプッシュ。いずれもGKの好セーブに遭ったが、ラツィオがリードを保って前半を終えた。
ミスから痛恨の失点を喫したインテルは、イエローカードをもらっていたダンブロージオに代えてダンフリースをハーフタイム明けに投入。一方のラツィオも後半開始早々にカタルディが負傷し、古巣対戦となるベシーノを急遽送り出した。
55分のインテルはディマルコのクロスにバレッラが右足のアウトサイドで巧みに合わせも、わずかにポストの右へ。3分後には長いボールを右のハイサイドへ送り、スプリント勝負を制したダンフリースのクロスから逆サイドのディマルコがフリーで顔を出すも、トラップがやや大きくなったため、DFに寄せられてこちらも枠へ飛ばせない。
ラツィオはセットプレー崩れからL・アルベルトが右ニアを強襲する一撃を見せるが、依然として攻勢を強めるのはインテル。65分にはディマルコの右足ミドルがGKプロベデルのセーブを強いると、直後にはルカクの低く速いクロスにファーでダンフリース。だが、これもカサレのカバーに阻まれてしまう。
インテルの猛攻が実ったのは77分、ルカクのポストプレーからボックス中央へ侵入した途中出場のラウタロ・マルティネスが滑り込みながら右足でネットを揺らす。さらに攻勢が続き、6分後に逆転に成功。ボックス右角からルカクが左足のシュートと見せかけてファーへ柔らかいクロスを送ると、こちらも途中出場のゴセンスが飛び込みながら左足で合わせた。
ただ、殊勲のゴセンスは着地の際に右の腕から肩のあたりを痛め、残念ながらピッチに戻ることができずにデ・フライとの交代を余儀なくされた。
一気呵成の逆転劇で勢いづくインテルに対し、焦るラツィオはまさかのミスから再度ゴールを献上。ベシーノからGKプロベデルへのバックパスが短くなると、これをラウタロ・マルティネスがカットしてフィニッシュ。一度はGKに阻まれるも、こぼれ球を自ら押し込んだ。
大きなリードを得たインテルは、終盤に浴びたペドロのシュートもGKオナナがきっちりセーブ。長い8分の追加タイムもしのぎ切り、3-1の逆転勝ちでローマ、ミランと勝ち点57で並んだ。