準決勝でバルセロナとのコパ・クラシコを制して2013-14シーズン以来、20度目の優勝へ王手をかけたマドリー。週明けにマンチェスター・シティとのチャンピオンズリーグ(CL)準決勝1stレグを控えるアンチェロッティのチームは、主力温存で0-2と敗れた直近のレアル・ソシエダ戦から先発5人を変更。ベンゼマやヴィニシウス、バルベルデに加え、負傷明けのアラバが復帰。モドリッチもベンチに入った。
一方、準決勝でアスレティック・ビルバオとの激戦を制し、2004-05シーズン以来となる決勝進出を決めたオサスナ。クラブ史上初のタイトル獲得を目指すアラサテのチームは、マドリーと同じく主力温存で0-1と敗れたバルセロナ戦から先発9人を変更。ブディミルやアブデ、モンカジョーラ、ダビド・ガルシアらが復帰した。
注目のファイナルはいきなり動く。開始2分、アラバのフィードに反応したヴィニシウスが左サイドで果敢に仕掛ける。そのままゴールライン際を深くえぐって角度をつけてプルバック。これに中央で反応したロドリゴが左足の鋭いシュートを突き刺した。
最も警戒していた形から早くも失点を喫したオサスナも素早い反発力を示す。相手サイドバックの背後を使って攻撃を組み立てると、ボックス内で駆け引きするブディミルがしっかりとフィニッシュに繋げていく。
以降はマドリーの左サイドが躍動を見せる一方、オサスナも奪ったボールを効果的に前進させて応戦。決勝に相応しい見応えのある攻防が続く。
25分にはマドリーが誇るトリデンテの圧巻の連携プレーから最後はボックス中央のベンゼマが鋭いグラウンダーシュートを枠の左へ飛ばすが、これはGKセルヒオ・エレーラの好守に遭う。直後にはアブデがミリトンを振り切ってボックス内に侵入し、GKクルトワの肩口を狙ったチップキックで同点ゴールに迫るが、これはDFカルバハルの見事なゴールカバーに阻まれた。
前半半ばから終盤にかけては球際のバトルが激化し、ピッチ上での小競り合いも少なくないエモーショナルな展開に。そういった中、アタッキングサードでの精度で勝るアンチェロッティのチームは、アラバのクロスバー直撃の直接FKやヴィニシウスの個人技で追加点に迫るが、相手の集中した守備を前に取り切るまでには至らなかった。
迎えた後半は拮抗した立ち上がりに。引き続きボールを保持するものの、ビルドアップや中盤の繋ぎでややミスが目立つマドリーはオサスナに付け入る隙を与えてしまう。
すると、58分にはアラサテのチームがスーペルゴラッソで試合を振り出しに戻した。右サイドからのクロスを起点とした攻めからペナルティアーク付近のルーカス・トロの足元にボールがこぼれると、かつてカスティージャに在籍していた大型MFが地を這う強烈なミドルシュートをゴール左下隅の完璧なコースに突き刺した。
1-1のイーブンに戻った試合は追いついた勢いでオサスナの時間帯がしばらく続く。後半半ばにはマドリーがチュアメニを下げてリュディガー、オサスナがブディミルを下げてチミ・アビラと共に最初の交代カードを切ると、この直後に試合が動いた。
70分、先制点と似たようなシチュエーションからヴィニシウスがボックス左に侵入してプルバック。DFの短くなったクリアに反応したクロースのエリア外からのシュートがディフレクトしてゴール前にこぼれると、いち早く反応したロドリゴが冷静に右足で流し込んで値千金のドブレーテとした。
苦しみながらも勝ち越しに成功したマドリーは、クロースを下げて負傷明けのモドリッチを投入。逃げ切り態勢に入る。一方、何とか追いつきたいオサスナはキケ・ガルシアやルベン・ガルシアといったアタッカー陣を投入し、力業でのゴールを目指した。5分が加えられたアディショナルタイムにはゴール前のキケ・バルハに見せ場が訪れたが、これを決め切ることはできなかった。
そして、試合はこのままタイムアップを迎え、善戦したオサスナを振り切ったマドリーが9シーズンぶりのコパ制覇を成し遂げた。そして、UEFAスーパーカップにFIFAクラブ・ワールドカップに続く今季3つ目のトロフィーを手にしたエル・ブランコは、最高の形でCLシティ戦に臨むことになった。