4位のニューカッスル(勝ち点56)は前節、敵地で好調のアストン・ビラと激突。5連勝という最高の状態で試合に臨んだが、球際のデュエルや切り替えの速さというチームのストロングポイントで完全に上回られた結果、0-3のスコアで完敗。6試合ぶりの敗戦によって3位から陥落となった。ホームでのライバルとの直接対決でバウンスバックの勝利を目指したエディ・ハウのチームは、先発1人を変更。ゴードンに代えてロングスタッフを起用し、ジョエリントンを左ウイングに置いた。
一方、5位のトッテナム(勝ち点59)はブライトン相手の新体制初勝利で浮上のきっかけを掴みたいところだったが、前節はホームでボーンマスとの打ち合いに2-3で敗れる失態を演じた。今節を皮切りにマンチェスター・ユナイテッド、リバプールとのシーズンの行方を占う重要な連戦を戦うステッリーニ暫定体制のチームは、敵地での大一番へ前節から先発1人を変更。ラングレに代えてパプ・サールを起用し、お馴染みの[3-4-3]から[4-3-3]に布陣を変更した。
トップ4フィニッシュを懸けた重要な直接対決は思わぬ立ち上がりとなった。4バックへ変更したアウェイチームの出方を窺うことなくホームチームが、電光石火のゴールを奪う。開始2分、ボックス手前左でギマランイスからパスを受けたジョエリントンがカットインからボックス中央に侵入して右足を一閃。これはGKロリスの好守に阻まれるが、ゴール右でこぼれ球に反応したマーフィーが冷静に蹴り込む。
最高の入りを見せたニューカッスルはシステム変更による混乱に加え、完全アウェイの空気に呑まれるトッテナムの動揺を見逃さない。6分にはシェアの対角ロングフィードに反応したジョエリントンが完璧に相手の背後を取ってボックス中央に抜け出すと、ロリスとの一対一を難なく制して2点目を奪取。さらに、9分には相手陣内でソン・フンミンを潰したショートカウンターからフリーで前を向いたマーフィーがボックス外から豪快に右足を振ると、これがゴール左隅の完璧なコースに突き刺さった。
10分も経たずに3点のビハインドを背負って早くも敗色濃厚となったトッテナムは、何とか相手の攻勢を撥ね返して反撃を開始。13分には右のスペースに飛び出したスキップからの折り返しにボックス内で反応したケインが右足を振り抜くが、これはわずかに枠を外れた。
この決定機をきかっけに流れを変えたいアウェイチームだったが、完全に勢いづいたニューカッスルの勢いを全く止めることができない。19分にはウィロックのスルーパスに抜け出したイサクがボックス内に持ち込んで右足シュートを、21分には右のハーフスペースでボールを受けたロングスタッフのスルーパスに抜けだしたイサクが再び右足のシュートをゴール左隅に流し込み、瞬く間に点差を5点に広げた。
わずか20分あまりで5失点を喫するクラブ史に残る屈辱の展開となったステッリーニ監督は、パプ・サールを下げてダビンソン・サンチェスを投入。遅きに逸した交代策で本来の[3-4-3]に並びを変えた。
このトッテナムの変更と、来週ミッドウィークに次節リーグ戦を控えるニューカッスルが意図的にペースを落としたこともあり、試合はここから初めて落ち着いた展開に。前半の内に何とか点を返したいトッテナムは、ソン・フンミンらの個人技を生かしたカウンターに活路を見いだそうとするが、集中したホームチームの守備を崩し切れない。一方のニューカッスルもゲームをコントロールした中で、そこまでリスクを冒してゴールを奪いに行く姿勢は見せず。前半は5-0のスコアのままでタイムアップを迎えた。
迎えた後半、トッテナムはコンディションの問題か、戦術的な判断か守護神でキャプテンのロリスを下げてフォースターをハーフタイム明けに投入した。すると、立ち上がりの49分にはボックス手前左でホイビュアからパスを受けたケインがDFシェアをドリブルで抜き去ってボックス内に侵入し、左足の正確なシュートをゴール右隅に流し込んで一矢報いるゴールを挙げる。
後半は吹っ切れた感覚で以降も攻勢を仕掛けていくトッテナムは、両ウイングバックも高い位置で攻撃に顔を出して厚みを与える。そして、カウンターからのソン・フンミンのカットインシュート、セットプレーからゴールを目指していくが、早い時間帯の2点目はならず。
一方、ニューカッスルは66分に共に2ゴールのマーフィーとイサクを下げてウィルソンとアルミロンを同時投入。すると、この交代が即後半最初のゴールをもたらす。67分、トリッピアーとのパス交換で右のハーフスペースでボールを持ったアルミロンがそのままボックス内に侵入した左足のシュート。これがDFに当ってファーに流れると、一瞬のDFの前に飛び出したウィルソンが冷静に流し込んだ。
これで再び点差を5点に戻したホームチームはギマランイスとトリッピアーを下げてゴーヂン、マンキージョを、ハムストリングを気にしていたシェアに代えてラッセルズを投入。試合終了まで15分以上を残して交代枠をすべて使い切った。
後半終盤にかけて膠着状態が続く中で意地を見せたいトッテナムは、クルゼフスキとソン・フンミンを下げてダンジュマ、リシャルリソンの投入で最後の悪あがきを試みる。88分にはその途中出場2選手の連携でチャンスを作るが、ダンジュマのダイレクトシュートはGKポープの正面を突いた。
そして、試合はこのままタイムアップを迎え、5位チームとのシックスポインターに6-1の圧勝を収めたニューカッスルが、アストン・ビラ戦の敗戦を見事に払しょく。トップ4フィニッシュへ大きな勝ち点3を積んだ。一方、敵地で惨敗して連敗のトッテナムは数字上はまだまだ可能性はあるものの、早くも終戦気配漂う重要3連戦の初戦となった。